シンガポールで1番有名な日本人の目指し方 148 【不都合な真実】
「そんなに意志が固いんだったら、僕から何もいうことはないよね。」
彼は穏やかにそういった。
「人生は一度きりだ。君の言うとおりやりたいと思ったことはやらないとね。もちろん君の事を応援するよ。」
ニコッと笑うと目じりがクッと下がる。
すてきやん。
この顔好みやん。
会社辞めることより、新しいプロジェクトはじめることより、
さっきの「大切な人」発言が気になる。
ちょー気になるっ!!!
この人ゲイじゃないよね、きっと。
「ねぇ、あなた彼女いないの?」
唐突に聞いてみた。
「うん、いないよ。」
「そうなんだ。あなたなんだか何人も彼女がいそうw」
カマをかけてみる。
「ははは、なんだよそれ?僕そんなに遊び人にみえる?」
彼は、ガハハと笑ったあと声を潜めて言った。
「実はね、僕一人の人としか付き合ったことないんだ。」
「え、そうなの?うそだぁぁぁ~!」
完全に冗談を言っているものだと思った私は、そんな彼の話を思いっきり笑い飛ばしてしまった。
超フレンドリーで、誰とでもすぐに仲良くなってしまうような彼に今まで一人しか彼女がいないなんて信じられなかったんだもん。
「みんなそういうんだよね……」
彼は苦笑いしていた。
「だって、あなた言っちゃ悪いけどちょっとプレイボーイタイプにみえるわよ?ねーねー、その昔付き合ってた彼女ってどんな人だったの?」
あたしはほんの軽い気持ちで聞いてみた。
彼は、ちょっと居心地の悪そうな顔をした。
「どんな人って……普通の人だよ。チャイニーズ(中国)系の女の子で…」
彼が傍目にもわかるくらい、オドオドしている。
なにかおかしいぞ……
一瞬そんな第六巻が頭を掠めたんだけど、あたしはあえてそれを無視した。
きっとあまり過去のことを蒸し返されたくない人なんだな。
なんて都合よく解釈してその先にはあえて触れなかった。
本当は怖かっただけなのかもしれない。彼の本当の姿を知るのが……
シンガポールで一番有名な日本人の目指し方 144 【一筋の光】
仕事を辞めるために、ワークホリデービザ(六ヶ月間シンガポールに滞在できて、就労も)の取得を考えていた私。
ところが‥‥
ある日日系の地元紙をパラパラとめくっていた私はとんでもない記事を目にしたんだ。
『ワークホリデー許可基準が大幅改定』
記事によると、今までは30歳までだった、このビザを申し込める年齢制限がなんと25歳まで引き下げられるらしい。
しかも、学歴基準もメチャクチャ厳しくなっている。
どのくらい厳しくなってるかというと『最低でも早稲田レベル』じゃないとビザが下りないっていうくらい!
何~ッッッ!!
最低でも早稲田レベルだとぉおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ~っっ!
ハァハァハァハァハァ…
だめだっ!
完全アウトだっ!
どの基準にも引っかかりまくっている!!!!!
いや、ま、まてよ、この基準が施行されるのは…
ん?
一ヶ月後…
と、ということは!そうだ!今申し込めば、未だ間に合う!!!!!!!!!
あたしは大慌てて必要書類を揃えて、シンガポールの関係機関に提出した。
どうか通りますように…
手遅れになりませんように…
そう祈りながら結果を待つ日々が続いた。
そう海外で自由に働くっていうのはそんなに簡単じゃないんだ。
そんなに簡単ではないんだけど、
でもね、ほんとにほんとほんとにやりたいって思ったら、
そうきっと道は必ずあるはず。
あたしはそう信じて待ち続けた。
シンガポールで1番有名な日本人の目指し方 142 【仕事、やめる?】
Ninja Girlsとして活動して一年半が経とうとしていた。
まだ上司にはバレてないようだった。
でも、相変わらず同僚には、「ブログやってるの?」とか「Ninja Girlsみてるよ!」とか声をかけられることが続いた。
嬉しい反面やはり、どこかビクビクしてしまう。
こんなホント生活やだな‥‥
あたしはNinja Girlsです!って
もっと思いっきり、声を大にしていえる環境だったらどんなにいいだろう。
仕事やめようかな‥‥
実は本気でそう考えるようになってから、,数ヶ月が経っていた。
でも現実的な話、仕事を簡単にやめることなんてできない。
まず月々のお給料がもらえなくなったら、どうやって生活するの?
道端に落ちてるもん拾って食うの?
その前に、ここは日本じゃなくてシンガポール。あたしがここに住むには
就労ビザがどうしても必要なんだよね。そしてほとんどの場合、その就労ビザは会社側がサポートしてくれないと手に入らない !
というわけで、簡単にいうとってしまえば、今の会社を辞めるとあたしは就労ビザを取り上げられシンガポールに不法滞在!!という怪しい身分になってしまうのだっ!
いやいやいや、それはいかんだろ・・・
何かいい方法はないものか・・・、考える日々が続いた。
そして・・、そしてあたしは、思いついてしまった!とってもいい方法を!!!!!
そう、これを機にあたしの運命はまたまたまたまた大きく大きく変わっていくのだった。
シンガポールで一番有名な日本人の目指し方 139 【ゲゲ?ゲゲゲ??】
写真はhttp://photohito.com/photo/2262255/からお借りしました。
「いやー、やっぱり男性も身の回りに気を使うべきだし、オシャレしなきゃいけないって思うよ。」
イケメンは上機嫌で持論を展開した。
「俺なんて、たまにマニュキアとかペディキュアとか塗ったりするもん。いや、流石に赤は塗らないけど。。黒とかね(はあと)」
やっぱりゲイだわ、このシト。。。
★☆★
とにかくゲイなのは残念だったけど、彼はいい人だった。
よくご飯に誘ってくれて、2人で食べに行った。
ある日のこと、仕事帰りにディナー誘ってくれた彼。迎えにきてくれた車に乗り込み、レストランに向かう途中でみえてきたのは、あのシェントンウェイの景色だった。
マリーナベイに面して立ち並ぶ金融街のビル群の夜景は、いつみても圧巻で私はとにかくこの夜景が好きでたまらない。
「ねぇ、ねぇ、ここに建ってるビルの中でどれでも好きなものあげるよ、っていわれたらどれがいい?
あたしはねー、メイバンクかな?あの黄色いやつ。」
なんのリアリティもない質問だったけど、彼は笑って答えてくれた。
「そーだなー、俺はあのビルかな?」
彼は、ビル群のなかでも一際目立つビルを指差した。
シンガポール最大の銀行が入っているあのビル。。。
「いつか俺がビリオネアになったら、あのビル買って、てっぺんのペントハウスにいつか奥さんと子供をつれて行って夜景をみせてあげたいなー。」
彼は笑いながら言ったけど、私は彼の一言にビビッと反応した。
ぬぉっ!?
今、奥さんってゆったよね!?
奥さんって!!
え、ゲイじゃないってこと、それ?
え、でも奥さんってゲイの奥さん!?(意味不明)
イケメンの「ゲイじゃないかもしれない疑惑」にあたしは大パニックになってしまった。
シンガポールで1番有名な日本人の目指し方 137 【ハッ!】
気がつくと、『One Minute Singapore』(一分間シンガポール)シリーズも残すところあと一話になっていた。
ABC順にZまで26回それぞれ違うキーワードでシンガポールを紹介していくこのシリーズが終わろうとしていた。文字通り、涙あり、笑ありで驚きの連続な撮影だったよ(遠い目)。
今思い出しても、胸の奥がジンジンしてくらいにいろんなことを鮮明に覚えてる。
駆け出しのブロガーとして、なんとか面白い内容にしようと、A to Zそれぞれから始まるキーワードをみんなで必死に考えたこと。(A,アラブストリート、B,ボタニックガーデン、とかね。)
最初の撮影では、公園にあった『結構急な坂道を四人で転がり落ちる』っていう謎の演出をしたこと。(草の中をゴロゴロやったので、あとで予想以上に草負けしてめちゃくちゃ痒かった)
チャイナタウンのときは、熱が39度あるにもかかわらず、変な顔をし続けたこと。(その後一週間ひどい風邪で苦しみまくった)
雨が降る中、マリーナベイサンズの撮影をやったこと。(雨とマリーナ・ベイ・サンズは似合わないな。)
常夏のシンガポールで毎回、熱中症になりかけながら私たちはやりきったんだ。
きっと、『どうしてそこまでがんばるの?(金が稼げるわけでもないの)』って思われちゃうかもしれない。
なんでそこまでがんばったんだろ 爆)
(しばし考え中)
うーん、楽しかったんだな。
撮影、ハンパなくきつかったけど楽しかった。
なんかキツければキツいほど逆に楽しい、、みたいな。
どMだな、みんなw
★☆★
One Minute Singaporeの最後のシリーズの撮影日。場所はもちろん
『Zoo』(動物園!!
Zではじまるからね。
かわいい動物さんたちをみながら、あー、今日で撮影終わりなんだー。
なんて少しだけ感傷的に。。。。なるはずもなく、クソ暑い動物園をひたすら歩き回りながら撮影をした。
ようやく終盤に差し掛かったと思ったら今度は激しい雨!!
シンガポールの移り気な天気には、さんざんやられまくったけど最終回もこんな感じか。。。
そう思いながら、最後のシーン(バイバーイ!ってやるとこね。)の撮影をしようと思った矢先、さくらちゃんが叫んだ。
「あーーーーーっ!もぅカメラのバッテリーがないーーーーーーーっ!」
さくらちゃんは、キッとした目になって振り向いた
「みんな!もうバッテリーがない!これ一発で撮るよ!気合入れていこう!!」
みんなの気持ちが引き締まって空気がピリピリした(ここ動物園だけどね)
『じゃ、いくよーーーーーーーーっ,3,2,1,,,, タッタラッタター!Oh it’s about time!! バイバーイ! (4人で走る)ハッ!』
最後のハッ!の掛け声と同時に4人で忍者のように柱に隠れるという、どーでもいい演出で「One Minute Singapore」シリーズは幕を閉じた。
最後のシーンは一発撮りで。
これが、あ、うんの呼吸っていうんだよね、きっと。
シンガポールで一番有名な日本人の目指し方 134【イケメン捕獲】
さくらちゃんにモーレツに背中を押されて、私はようやく一歩を踏み出した。
ビーチで例の白い犬と戯れる『イケメン』のもとににじり寄る。
標的との距離、目算10メートル!
「キャー!かわゆーい!」
奇声ともとれる甲高い声を発しながら犬に近づき、すかさず頭を撫でた。
「やばい、ちょーかわーいー!え、もしかして、あなた飼い主?これあなたの犬?」
最初から狙っていたくせに、今初めてあなたの存在知りました、みたいな顔をして飼い主である『イケメン』の顔をみた。
「はははー、そうだよ!」
イケメンはちょーフレンドリーだった。サングラスを外すと、思ったよりイケメンじゃなかったけど、まーそんなことはどうでもいい。
彼は、右手を差し出しながら言った。
「ところで僕はマーク。はじめまして!」
そこから、立ち話が始まった。
彼はシンガポール人だった。聞くところによると、彼は何やらファッション関係のビジネスをしているらしい。
「去年、日本にトランジットで立ち寄ったんだ!でもあんまり時間がなかったからちゃんと観光はできてないんだけどね。今度はもっとゆっくり旅行にいきたいなー。」
ランちゃんも混じって3人でかなり話が盛り上がった。
★☆★☆
「じゃ、あたしたちもういかなきゃ。」
「わかった、じゃ、2人の電話番号教えてよ。今度ご飯でも。」
「もちろん!」
★☆
ビーチでの動画撮影が終わってくたくたになりながらビーチをあとにしていた私たち。
ふと振り返ると彼は白い犬と楽しそうに泳いでいた。
日に焼けた逞しい体に赤いビキニパンツが眩しかった。
日にやけた肌。。。
逞しいからだ。。。
赤いビキニパンツ。。。。。。。。。
ま、まさか。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。!!!!!!
いやな予感がした。
シンガポールで1番有名な日本人の目指し方 133 【白い犬】
私はそのイケメンらしき男性を暫く目で追いかけた。
『あの人、かっこいぃ~。』
隣にいたさくらちゃんにそう話しかけると、彼女は0.3秒でこう返してきた。
『声かけてくればいいじゃん。』
私は、いやいや、別にそんなつもりで言ったんじゃないのよ、とかなんとかモジモジしながら話をはぐらかした。
実際そんなつもりじゃないかったんだよ、ホントに。
よくみると、彼は波打ち際を歩きながら、ビーチに寝そべっている女の子たちと楽しそうにおしゃべりをしているではないか!
やはり、ちょっとでも見た目がいい男は遊び人なのだ。間違いない。
いかんいかん。そういう男はいかん。
つばき!イケメンだからといって簡単に鼻の下を伸ばすんじゃない!
危険だぞ!
あたしは自分に危険信号を出した。
★☆
でもね、その日はさくらちゃんがいつになく激しくツッコんでくる。
「いいのかい?本当にいいのかい?声かけなくて後悔しないのかい?」
☆★☆
前にも話したことがあると思うんだけど、チャンスの神様には前髪しかない。
前髪しかないってことは、一瞬のチャンスを逃してしまったら、もう二度とそのチャンスは巡ってこないってことなの。
だって後ろ髪ないんだから。つかめないんだから。
暫くすると、さくらちゃんが私の耳元でこう囁いた。
「見て。あそこにいる白い犬。」
ふと前を見ると、小さいフワフワ系の白い犬がビーチをトコトコと歩いていた。
「あれ、あのイケメンが連れてきてる犬よ!あたしさっきからずっと観察してたの!さぁ、犬好きなフリをして、話しかけてきなさいっ!そしたら怪しまれないわよ、さぁいって!」
い、犬好きなフリって‥‥