シンガポールで一番有名な日本人の目指しかた 3 【派遣生活の果てに 3】
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すっぴんで髪はボサボサ、ジャケットは毛玉だらけ、
そんな女が死んだ魚のような目をしてこっちを見ている。
その姿は私がよく知る人たちに似ていた。
心の中で「こうはなりたくない」と思っていた、
会社のオバサン社員たちの姿とそっくりだと思った。
その姿が自分だと気づいた瞬間に私を襲った、
どうしようもない感覚を今でも憶えている。
「もう私の人生終わったな。死んでしまいたい。」
ふとそう思った。
今考えるとバカみたいな話だけれど、
その時は本気でそう思ったのだ。
本当にみじめだった。
情けなかった。
私には、夢もない、希望もない。
こんな田舎じゃ、挽回するチャンスすらもない。
「もう生きていてもしょうがない」という気持ちが、
どこかから降りてきて私の心にぺたりと座り込んだ。
★
思えば、新卒で入社した製薬会社をたった2週間で辞めてしまってから
人生が狂い始めたのかもしれない。
そこからを職を転々とし、
気づけば派遣社員、いわゆるワーキングプアになっていた。
一体何がいけなかったのだろう。
小さい頃から、
親や周りの期待に応えようと頑張ってきたはずだったのに‥‥
運が悪いのか?
時代が悪いのか?
世間に適応できない私が悪いのか?
我慢が足りないのか?
根性が足りないのか?(まぁ、なんせ会社を2週間で辞めたのだから、
たしかに根性は無いのだけれども)
そして一体全体、私は人生に何を求めていたのだろうか?
そんなことを昼も夜も考え始めた私。
鬱状態になっていくのに、さほど時間はかからなかった。