シンガポールで一番有名な日本人の目指しかた 13 【有名になるぞ大作戦】
<はじめての方はまずは から>
さくらちゃんの唐突な「有名になろう」プロジェクト(方向性:特に無し)
に参加してしまった私。
私はてっきり「さくらちゃんってば、きっと思いつきで言ったんでしょ」
と思っていたけれど、
彼女にはどうやらきちんとした作戦があったようだ。
それは、ブログやFacebook、YouTube等のプラットフォームを介して、
私たちの存在をシンガポール、ひいては世界に知らしめる、ということ。
つまりはいわゆる「ブロガー」と呼ばれる存在になって、
インターネット上で知名度を獲得しようということだった。
きっとこれを読んでくれているようなあなたにとっては、
こんな風に書いただけでサラリと理解してもらえることなのかもしれない。
でもかなりアナログ人間な私は、
さくらちゃんが言っていることが残念ながらよく理解できなかった。
そんな私にさくらちゃんは、
「これ、超シンプルでわかりやすいから」
と、一冊の本を貸してくれた。
「ゲイリーの稼ぎ方」というこの本は、
ソーシャルメディアを使って世界一成功した、
と言われるアメリカ人実業家が書いたハウツー本だった。
彼によると、今の時代、
Facebook、Twitter、YouTube等のソーシャルメディアを使って、
誰でもお金をかけずに自分をブランド化できる(有名になれる)らしい。
それでも正直言って、当時の私は、
この本を読んでもやはりいまひとつピンと来ていなかった。
芸能人やスポーツ選手が、ファンと交流するツールとして
FacebookやTwitterを使用しているのは知っていたけれど、
私のような特に芸もない一般人がこんなもので有名になれるの?
と半信半疑だった。
更にさくらちゃんは、
これらのことを全部英語でやろうとしていた。
たしかに英語でやれば、
私たちの活動を見てくれる人は多くなるに違いない。
一億2千万人しかいない日本人に比べ、
英語でやれば14億人以上の人に私たちの存在を知ってもらえるチャンスがある。
でも、私たちの英語はネイティブには程遠いし、
こんな語学力でほんとに面白い情報を発信できるの?
と私は疑いの色を隠せなかった。
それでも、さくらちゃんの意志はとっても固かった。
「英語でやらなきゃ意味がない!」
彼女は言い切った。
「私たちは、シンガポールに住んでいて、英語を使って、生活している。
やろうと思ってできないはずがない。
むしろ、英語でやらずに成功できるはずがない!」
さくらちゃんの決意と自信の前に、
私は「わかった」と頷くしかなかった。
★
ブログとソーシャルメディアを使って情報を発信していく、
という方向性は決まった。
あとは、「コンテンツ(ネタ)」を考えなければいけない。
ここが最大の難関だ。
歌がうまい人なら歌で勝負できただろう。
スポーツが得意ならスポーツで、
美人な子だったら美人なだけで、
話題になれるだろう。
でも悲しいかな、私たちには何の芸もなかった。
さくらちゃんと私はお互いの無芸にため息をつきながら、
とりあえず何でもいいから目立つことをして、
それをネタにブログを書くしかないとの結論に達した。
さて、目立つこと‥‥
一体、何をしたらいい?
しばらく考えたさくらちゃんは、
おもむろにこう切り出した。
「とりあえずさ、誰よりも派手なドレスを着て、
週末のクラークキー(シンガポール一のナイトスポット)を歩いてみない?
あたしの友達で、
キルトっていうスカートみたいなやつを履いて生活している男性がいるんだけど、
彼なんてそれだけでネットでも話題になったし新聞にも載ったんだよ!
たぶん変な格好して街を歩いていれば、それだけで注目されるよ。
シンガポールなんて狭いんだもの、下手すればそれだけで話題になるかも。
よし、そうしよう。
そしてそれをブログにアップしよう。」
こうしてNinja Girlsは、
夜のクラークキーで初めて世間にお披露目されることとなった。