シンガポールで一番有名な日本人の目指しかた 24 【恥ずかしい夜 再び】
<はじめての方はまず目次から!>
撮影は順調に進んだ。
クリスマス・ツリー前のシーンから始まり、
私たちがプラザ・シンガプーラのDAISOでオーナメントを買うシーン、
そしてそれをさくらちゃんのドレスに飾り付けるシーン。
飾り付けが終わったさくらちゃんの姿は圧巻だった。
グリーンのワンピースに映える、キラキラしたオーナメントの数々。
ミラーボール型や鈴型のオーナメント(ガチでクリスマスツリーに飾るやつね)
がドレスの上でプラプラと揺れている。
それを引き立てる、まさかの電飾‥‥
電池式のスイッチでオンオフが可能な上に、
チカチカと点滅までしてしまっている。
全身に巻き付けられたそんなスグレモノが、
さくらちゃんを文字通り眩しく輝かせていた。
極めつけは、頭のてっぺんに飾られた巨大な星。
さくらちゃんの顔より大きなこの星、
実はツリー用の飾りを改造した手作りカチューシャなのだ。
変身したさくらちゃんは、
どこからどう見てもおバカ‥‥じゃなかった、クリスマスツリーに見えた。
少なくとも私の目には、立派なクリスマスツリーに見えた。
そーか。
この人、ここまでやるのか。
全身を電飾で包まれてなお、
真剣な顔をしてエディと画面の確認をしているさくらちゃん。
もう本当に尊敬せずにはいられない本気度だった。
目がくらくら(チカチカ?)するほどだった。
クリスマス・ツリーと化したさくらちゃんを引き立てるべく、
サンタの衣装を着た私。
二人で最終ショットを撮るために、
巨大なあのクリスマスツリーの前に移動した。
移動中、すれ違う人が、それはもう振り返る振り返る。
そして‥‥ガン見‥‥。
考えてみれば当たり前のことなのだ。
これも「有名になろうプロジェクト」の一環だもの、
目立たないと話にならない。
そんなことわかってる‥‥‥わかってるよ!
わかってはいるけど、
やっぱり恥ずかしーーーーよーーーーーーーー泣
通行人の目線を振り切り、
クリスマス・ツリーの前に辿り着いた私たちは、
ついに最後の「にんにんショット」を撮り終えた。
ふー疲れた‥‥全身が「やりきった感」に包まれていた。
クリスマス・ツリーの前にいた私たちは、
撮影の前後や合間に何度も観光客に記念撮影をお願いされた。
きっと、それだけ目立ってたんだろうな。
フィリピンから観光で来ていたカップルにも撮影を頼まれ、
一緒に並んでポーズをとった。
お騒がせセレブだった頃の二コール・リッチーを意識して、
自信満々な笑顔を作ってみた。
嬉しそうに「ありがとう」と言って去って行く彼らを見送りながら、
その時思ったんだ。
やっぱりこの感覚、悪くないな。
有名になったら、この感覚、きっともっと味わえるんだろうな‥‥なんて。