シンガポールで一番有名な日本人の目指しかた 29 【目には目を、歯には歯を】
<はじめての方はまずは目次から!>
「シンガポールで一番有名な日本人になろう」との目標を掲げ、
そのための様々な方法を試していた私達。
ブログ、Facebook、YouTube等で、
色々と角度を変えながら写真や動画をUPする毎日が続いていた。
月曜から金曜は会社で仕事をし、
アフター5や週末は忍者活動に勤しむ生活。
思えばこの頃から今まで、
ゆっくりと休暇を取った記憶が無い。
十分過ぎるほど充実した日々に、つい忘れそうになることもあったのだけれど、
やっぱりシンガポールは私にとって異国の地。
日本との文化の違いだったり、気候の違いだったり、
ちょっとしたことが積み重なってストレスを感じることが多くなってきていた。
シンガポールで生活を始めてしばらく経ち、
張っていた気が少しずつ緩むと同時に、
身体に不調が現れるようになった。
★
ある日、突然ものもらいになった時のこと。
あわてて上司に休暇をもらい、病院へと急いだのは良いけれど、
眼科に行くはずの私は何を思ったか歯科の扉を叩いた。
診察室に入るとそこには、
どこからどう見ても歯科特有の、
あの「ウィーン」と動く椅子が‥‥
さすがの私も「むむ?これは歯医者の椅子では?」
という疑念に一瞬駆られたのだけれど、
「ははーん、これが文化の違いってやつか。
シンガポールでは眼科でもこのタイプの椅子を使うのねっ!」
と疲れた頭でポジティブに解釈し、椅子に座っておもむろに、
「ドクター、私、ものもらいになってしまって‥‥」
と目を指差したのだった。
当然担当医師(注:ここは歯医者です)はつとめて冷静に、
「ミスつばき、言いにくいのですがここは歯科医院ですよ。」
と仰った。
思わず「あ、だと思いましたー!」と反射的に答えたのだけれど、
ドクターの目が笑っていなかった事実が頭から離れない‥‥笑
★
まぁ、それは置いておいても、
身体が疲れやすくなったり、風邪をひきやすくなったり、
心細い体験をすることが続いた。
人間、病気をすると、誰かに頼りたくなるものだ。
私も例外ではなかった。
Ninja Girlsのメンバーはもちろんすごく良い仲間だけれど、
みんなそれぞれにすごく忙しい。
それに水を差したくなかった私は、
いつもヒマそうにしているフォトグラファーのエディとよく遊ぶようになっていった。
(彼の名誉のために言うと、彼は決してヒマではなかったらしいけど)
フリーランスの彼は時間の融通がきくから、
夜遅くにご飯を食べに連れて行ってくれたり、
ちょっと遠くまでドライブに連れて行ってくれたりするようになった。
それでも私は、彼とどうこうなるつもりはなかったし、
いい友達としか思っていなかった。
そう、あの日までは。