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日系ブロガーのススメ。

日本人だけど英語ブロガーなNinja Girlsです。あなたも日系ブロガーはじめませんか?

シンガポールで一番有名な日本人の目指しかた 56 【異変】

<はじめての方はまずは目次から!>


「ダメダメダメ!
らん、もう少し左に寄って!
つばきももう少し元気に声張らないと!」


何度撮り直しただろう。
私たちはエディの大声が響く度に、言われるがまま冒頭部分を繰り返した。
その度に皆でカメラを囲んで、たった今撮ったばかりの動画を確認する。
何度目かのテイクで、相変わらず厳しい顔のエディが、ようやくOKを出した。


「うん、これでOK!」


みんな、つめていた息をフーっと吐き出し安堵する。
いつもと違うエディとの様子に戸惑いつつも、私は思った。
エディはきっと、Ninja Girlsのことを真剣に考えてくれてるんだな、って。
良いものを作りたいって気持ちの強さが、彼をそうさせるんだな、って。



撮影は大変だったけれど、「自分たちを変身させる」という新しい企画を、
みんなとても楽しんでいたと思う。
今回はいつもと趣向を変えて、エンドロール用に、
メンバーがそれぞれ日本語で撮影の感想を語るシーンを撮影した。


カフカしたファーの帽子をかぶったあやさんが、
この帽子をさくらちゃんに勧められたときは、罰ゲームかと思ったけど‥‥
って話すシーンは、今観ても笑ってしまうんだよねぇ。笑


さすがに日本語だとやりやすくて、
4人それぞれの感想シーンも順調に撮影が終わった。


でも、頑張り屋のらんちゃんは、「エディ、最後の私のパート、
もう一回だけ撮りたいんだけどお願いしてもいい?」
って頼んでたんだ。
そういう欲がでてくるって、すごく良いことだよね。


動画を作り続けるためには、
「良いものを作りたい!」って気持ちを持つことが何より大切
だから。
私たちは、この時から今まで、
ずーっとその気持ちだけで走ってきたようなもの。


だから私は、てっきりエディが快くやってくれると思っていた。


でも彼の口から出たのは、大きな溜息だった。
彼は少しうんざりしたような顔で言った。


「‥‥もういいだろ?今さっき撮ったやつで充分だよ。」


え?嘘でしょ? 私は耳を疑った。
らんちゃんは少し悲しそうに、「OK」とだけ言って、
すぐまた元のらんちゃんに戻っていたけれど、
私はエディの反応が心に引っかかって仕方がなかった。


確かにエディは何時間も撮影してくれたし、疲れているのはわかる。
それにNinja Girlsから彼にお金を払っているわけでもない。
でも、どうしてそんなに面倒くさそうな顔ができるんだろう。


ほんとはNinja Girlsの撮影なんてしたくないのかな?
でも77th streetとのコラボの話にあんなに喜んでたのにな。
もしかして疲れてたのかな?
もしかしてお腹空いてたのかな?


‥‥私は、混乱していた。
彼が撮影前半、私たちに有無を言わせないほど場を仕切っていたのは、
一体何だったんだろう?
怖くて、訊けなかった。