シンガポールで1番有名な日本人の目指し方 85 【思わぬ出来事】
Ninja Girlsからまた一人、主要メンバーが去った。
活動を始めた当初から、止まることなく走り続けてきた私たち。でもここにきて、立ち止まらざるを得ない状況に追い込まれたんだよね。
でもNinja Girlsは、絶対に解散なんかしない。そんなことあり得ない!
だって、Ninja Girlsは私のすべてなのに!
私は、私の気持ちだけは絶対に何があっても揺らがない。
自分ではそう思ってた。
★
そんな矢先の出来事だった。
いつものようにスカイプをチェックすると、母親からのメッセージが入っていた。数件の着信履歴と一緒に。
「ちょっと話したいことがあります。電話ください。あなた、ちゃんと会社には行ってるんでしょうね?」
一瞬でピンときた。
あ、Ninja Girlsのことがバレたんだ、って。
と、同時に心臓がありえない速さでドクドクと鳴りだすのがわかった。
★
とても保守的な父や母が、あのNinja Girlsのサイトをみたら腰を抜かすだろうな、とは常々思ってた。
なんてったってフロントには、Ninja Girlsのランジェリーフォト。なんちゃってグラビア風のビキニフォトだって沢山アップしてるんだから。
それと同時に、まぁよっぽど有名にでもならない限り、そうそうバレることもないだろうとも思ってた。
星の数ほどあるブログの中からNinja Girlsをクリックするなんて、あり得ない確率でしょ?
でも、なぜかバレてしまった。
私は心臓をバクバクさせながら、でも知らないふりをしてメッセージを返した。
「ちゃんと会社にいってる?ってどーゆー意味?あたし、今日は疲れたからもう寝るね。」
すぐにiPhoneの着信が鳴り響く。10秒、20秒‥‥
私は息を潜めたままテーブルにおいたiPhoneがブルブルと振動し続けるのを、じっと見ていた。
どうしても‥‥どうしても電話を取ることができなかった。母親の声を聴くのが嫌だったんだ。
なぜか身体が震え、吐き気がしてきた。