シンガポールで1番有名な日本人の目指し方 89 【大切なもの】
私はモンモンとした気持ちのまま、日々を過ごしていた。
シンガポールにきてから、すべてが順調にいっているはずだった。でも本当はそんなの妄想だったのかもしれない。
私は、情緒不安定になってエディに八つ当たりするようになった。
あるときは、彼の前で突然泣き出してしまったり‥‥
彼は困ったように、「Don't cry...Don't cry (泣くなよ‥泣くなよ‥)」と私の肩を摩ったけど、それがさらに私をイラつかせた。
「あんたねー、泣いてる人に向かって『泣くな、泣くな』って、もうちょっと気の効いたこと言えないのっ?」
「い、いや、俺正直泣かれるとどうしていいかわからないんだよ‥‥」
なんなのよ、この男!泣いてる女の慰め方一つ知らないなんて!
また一段とエディに対してがっかりしてしまう。
だめだこりゃ。
いや、わかってる、わかってるんだよ!男の人は女に泣かれるのが苦手だってことぐらい!
はぁ‥‥
★
でもね、時間が経つにつれて、少しずつ私の心は落ち着きを取り戻していった。
ぐるぐるぐるぐる考えてたんだけど、そう、これでよかったんだ、って何かがストンと腑に落ちた瞬間があったんだよね。
なんでかって?
だって、私は自分の人生を変えるためにシンガポールにやってきたはず。
シンガポールにいけば何か、何かがわたしを待ってる!
そんなインスピレーションを夢と希望と少しの荷物を持ってノコノコとね。
そしてさくらちゃんと出会って、ひょんなことからNinja Girlsを始めた。
Ninja Girlsを続けるうちに、これは私がずっと探し求めていた「何か」なんじゃないかと思い始めたんだ。
その過程を思い出すにつれ、私の迷いは吹っ切れていった。初心を忘るべからずっていうのは、こうゆうことなのかな?
Ninja Girlsは私にとっての夢であり、希望であり、ビジョンであり、可能性であり、私が今最も大切にすべきものなんだよね。
そう、そして大切な何かを手に入れるためには、何かを手放さなきゃいけないときもある。
それが今なんだ、って。
私は覚悟を決めた。
これからも、大切なものを守るために、いらないものをすべて手放していく勇気を持とう。
そう、徹底的に‥‥ね。