シンガポールで1番有名な日本人の目指し方 94 【ラブ・アディクション】
思い返せば、私は一人暮らしを始めた18歳の頃から、ほとんど男が途切れたことがなかった。
こんな風に言うと、「モテる女はつらいねー。」なんて言われたりするけど、ホントは事態はもっと深刻だった。
私が男なしでいられなかったのは、孤独に耐えられなかったから。
恋愛って、最初のうちは盛り上がるけど、時間が経つにつれてだんだん落ち着いてくるものだよね。
私は、恋愛が落ち着いてくるのに耐えられないタイプだった。
もっと、ドキドキしたい!
トキメキたい!
でもだからといって、いま付き合っている彼氏との落ち着いた関係も手放したくない!
だって孤独になりたくないんだもん。
だから、たいして好きでもない男とダラダラと付き合った。
そして付き合っている男がいるにも関わらず、次の男を探す、というような具合だった。
相手の気持ちなんて考えたこともなかった。というより、本気で相手を愛したことなんてなかった。だって、彼らは私の孤独を埋めるだけの道具に過ぎなかったんだから。
すべては自分のため。
自分さえよければいい。
それが私の恋愛のスタンスだった。
★
さくらちゃんは、私のそんな恋愛スタンスに気づいてた。
「つばきちゃんは、恋愛依存症なんだよ。」
ある日突然、さくらちゃんにそう言われた。
「れ、恋愛依存症?」
私はびっくりして聞き返す。
「そう、ラブ•アディクション。つばきちゃんは、恋愛に依存することで、自分の孤独や満たされない部分を埋めようとしてるの。自分と向き合うことから逃げてるんだよ。
でもね、そんなことしてたら本当の意味で相手を思いやる恋愛なんて絶対できない。」
耳が痛かった。
思い当たる節があり過ぎる。
「若いうちはそれでもいいかもしれない。でもつばきちゃんも、もうアラサーでしょ。そんな不健康な恋愛を続けてて、いいの?後悔しないの?」
私は黙ってうつむいた。
そう、こんなんじゃだめだ。
でも、どうすればいいんだろう。
相手ときちんと向き合う恋愛なんてしたことない。だから、やり方がわからない。
戸惑う私に、さくらちゃんが言った。
「いい方法があるよ。とっておきのね!大丈夫。あたしも昔は、恋愛依存症だったんだから!必ず改善できるから安心して。」