シンガポールで一番有名な日本人の目指し方 106 【てぃっしゅ】
「ティッシュ配り、チラシ配りとか‥‥」
遠くを見ながらボソボソつぶやくさくらちゃんの一言に、私はピクリと反応した。
「ティッシュ配り、いいんじゃね!?」
私は大きな声で言った。
「いや、思いつきだよ‥‥」
言い出したわりにあまり乗り気じゃないさくらちゃん。
でも私には、その案がすごくすごくすごくピンときたんだよね。
なんか、言葉では上手く説明できないけど、これは絶対いける!って確信したんだ。
「それすごくいいよさくらちゃん、やろうよ!あたしやりたい!」
「そ、そう?…つばきちゃんがそこまで言ってくれるなら…」
「よし、やろう!絶対上手くいくよ」
「お…おう」
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私たちは早速作戦を立てた。
まずは、道端で「『いいね!』押して下さい!」みたいな看板をもって立って興味を持ってくれそうな人を探すことにした。
この場で押してくれたらティッシュあげるよーって呼びかけながらね。
で、Ninja Girlsのページに『いいね!』を押してくれた人に、お礼の意味を込めてポケットティッシュをプレゼントするっていう作戦。
★
日本だったらこれはうまくいかないかもしれない。
だって、無料のティッシュなんてそこらじゅうで配ってるもんね。
でもシンガポールって、道端で配るティッシュって実はすべて有料なんだよね。
それは、私がシンガポールにきて最も驚いたことの1つでもあるんだけど。
ティッシュがタダで貰えるって、シンガポール人にとって、きっと夢のようなコンセプトに違いない。
どんどん『いいね!』押してくれるに違いない。
私たちは『いいね!』を手に入れ、シンガポール人はティッシュを手に入れる。
これぞまさに「Win-Winの関係」!!
やばいー、さくらちゃんってば、天才ー!
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大いに盛り上がったさくらちゃんと私は、早速その足でポケットティッシュを買いに向かった。
144個で10ドル(700円)のポケットティッシュ。
たった10ドルの投資で144個の『いいね!』をゲットできるなんて美味しすぎる。
はやくやってみたくてウズウズする。その週末、私たちはさっそく作戦実行のため、若者の街ブギスに向かったんだ。
とにかく『いいね!』が欲しかったんだよね、その頃の私たち。それはもう喉から手が出るほど。