シンガポールで1番有名な日本人の目指し方 115 【油断】
週に三本動画を撮るようになってからは、とても忙しくなった。
週末のどちらかは必ず撮影でつぶれてしまう。
『One minute Singapore』なんて見る側からするとたった一分のビデオかもしれないけど、
撮影に丸一日かかるなんてこともざらだった。
昼の炎天下の中、歩き回っていると本当に疲れてしまう。
『あー、もー、やだーーー。もうおうちに帰りたいよーー(泣)』
きっと、みんなそう思っていただろうな。
いや、正直に告白すると私はそう思っていた。
さくらちゃんは、みんながダレているのを見ると決まってこういった。
『さっ、みんないくよ。あと少しだからがんばろっ!』
撮影のとき、彼女はいつもみんなの3歩先を歩いていた。
私はいつもさくらちゃんはほんと凄いなー、疲れないのかなー。なんて暢気に思っていた。
でもいまならわかる。
さくらちゃんが一番きつかったはず。
いつもカメラを抱えて、カメラを回して、動画の構成まで全部彼女がやっていた。
きっと、『今日はやりたくない』って思う日もあったんじゃないかと思う。
でも、彼女決して弱音を吐いたり、愚痴を言ったりしなかった。
私の目には、彼女はいつも何事もサラリとやってのけているように見えた。
鈍感な私は、さくらちゃんの負担がどんどん大きくなっていっていることにぜんぜん気づけていなかったんだよね。
★
『One Minute Singapore』の他にフードや美容関係の動画を週に2本上げていたんだけど、そちらの方には、どんどんスポンサーがつくようになっていった。
気付くと、『あ、今週もスポンサードで撮影できたね。』っていう週が続いていた。
ブログを始めてから、こんなに早いスピードでスポンサーがつくなんてこと自体、
かなりレアでありがたいことなんだ。私がその有難さに気付く間もなく、いろんなことが起こっていった。
作ったビデオを企業のプロモーションに使っていただけるようになり始めたのもこの頃だった。
例えば、下のビデオは今でもMUSEEさんのホームページに埋め込んで頂いている。
物事はすべて順調に進んでいるかのようだった。
でも、そんなときに限って人間足元をすくわれるものなんだよね。
そう、油断は禁物だったはずだったんだけどね、本当に。