シンガポールで1番有名な日本人の目指し方 148 【不都合な真実】
「そんなに意志が固いんだったら、僕から何もいうことはないよね。」
彼は穏やかにそういった。
「人生は一度きりだ。君の言うとおりやりたいと思ったことはやらないとね。もちろん君の事を応援するよ。」
ニコッと笑うと目じりがクッと下がる。
すてきやん。
この顔好みやん。
会社辞めることより、新しいプロジェクトはじめることより、
さっきの「大切な人」発言が気になる。
ちょー気になるっ!!!
この人ゲイじゃないよね、きっと。
「ねぇ、あなた彼女いないの?」
唐突に聞いてみた。
「うん、いないよ。」
「そうなんだ。あなたなんだか何人も彼女がいそうw」
カマをかけてみる。
「ははは、なんだよそれ?僕そんなに遊び人にみえる?」
彼は、ガハハと笑ったあと声を潜めて言った。
「実はね、僕一人の人としか付き合ったことないんだ。」
「え、そうなの?うそだぁぁぁ~!」
完全に冗談を言っているものだと思った私は、そんな彼の話を思いっきり笑い飛ばしてしまった。
超フレンドリーで、誰とでもすぐに仲良くなってしまうような彼に今まで一人しか彼女がいないなんて信じられなかったんだもん。
「みんなそういうんだよね……」
彼は苦笑いしていた。
「だって、あなた言っちゃ悪いけどちょっとプレイボーイタイプにみえるわよ?ねーねー、その昔付き合ってた彼女ってどんな人だったの?」
あたしはほんの軽い気持ちで聞いてみた。
彼は、ちょっと居心地の悪そうな顔をした。
「どんな人って……普通の人だよ。チャイニーズ(中国)系の女の子で…」
彼が傍目にもわかるくらい、オドオドしている。
なにかおかしいぞ……
一瞬そんな第六巻が頭を掠めたんだけど、あたしはあえてそれを無視した。
きっとあまり過去のことを蒸し返されたくない人なんだな。
なんて都合よく解釈してその先にはあえて触れなかった。
本当は怖かっただけなのかもしれない。彼の本当の姿を知るのが……