シンガポールで一番有名な日本人の目指しかた 11 【ついにシンガポールへ 4】
<はじめての方はまずは から>
あっという間の10日間が過ぎ、
一旦日本に戻ると、
私はすぐに荷造りをした。
いきなりシンガポールに移住するなどと言い出した私を見て、
両親は本気で私の気が狂ったと思ったらしく、
それはそれは猛反対した。
でも、私の決意が変わらないとわかると、
諦め半分に送り出してくれた。
そして憎たらしい青い作業服をついに会社に返却した3日後、
私はシンガポールへと再び旅立った。
★
国際色豊かなオフィスでの華やかな秘書の仕事と、
さくらちゃんと一緒の楽しすぎるアフター5を満喫する毎日。
シンガポール移住後の数ヶ月は、瞬く間に過ぎ去った。
こんな楽しく充実した毎日が送れるだなんて、
数ヶ月前には想像もしていなかった。
本当に人生、捨てたモンじゃない。
でも、私はまだ気づいていなかった。
これはこれから始まる物語の、ほんの序章であることに。
映画も顔負けの、信じられないくらいドラマチックな展開が、
まだまだ私を待ち受けているということに。
★
ある日、一緒にラーメンを食べていたときのこと。
チャーシューを箸ではさんだまま、
さくらちゃんが唐突に言ったのだ。
「ねぇ、あたしたちシンガポールで一番有名な日本人になってみない?」
拍子抜けするほどさりげないこんな一言が、
私たちを、
誰も見たことがない未来へと吸い込んでいく‥‥
※さぁ、次回から、いよいよ本編へ!