シンガポールで一番有名な日本人の目指しかた 49 【エリムさんとフレディさん】
<はじめての方はまずは目次から!>
本物のエリムさんは、
数々のインタビュー紙に載っている写真そのままだった。
少し混じる白髪を上手に活かしたショートカットは、彼女のトレードマーク。
モノトーンの落ち着いたユニセックススタイルが、
無言のうちに彼女のセンスと人柄を物語っていた。
きらりと光るアクセサリー使いに、自社製品への愛を感じる。
「そう、あなた達が、Ninja Girlsね。
お会いできてとても光栄だわ。
私は77thStreetのエリム、そしてこちらが窓口になってもらうフレディ。
長年の付き合いになる私の右腕よ。」
そう紹介されたフレディさんは、
カラフルなアシンメトリースタイルの髪の毛を揺らして、
「よろしく!」とにこやかに手を振った。
(後から気づくのだけれど、なんと彼は私たちより年下だった!)
★
エリムさんは私たちの話を、
とても真剣に、そして優しく、じっくりと聞いてくれた。
さくらちゃんが事前に送っておいた企画書も、
しっかりと読み込んでおいてくださったらしい。
私たちは英語でブログを書いているということ。
しかし外国人である私たちにこの国でのコネクションは少ないこと。
そこで企業とコラボレーションして露出度を上げる作戦を思いついたこと。
77thStreetさんには、私たちの作る動画に服やアクセサリーを提供していただき、
それを自社ソーシャルメディアでご紹介いただきたいこと‥‥
さくらちゃんはとても慎重に謙虚に、
でもエリムさんとフレディさんの目をしっかりと見つめて言葉を繋いでいた。
私はと言えば、いつも通りさくらちゃんに丸投げして、黙っているばかり。
でもそんな自分が歯がゆくて、なんとかいいところを見せるタイミングを探していた。
エリムさんはこの企画にとても興味を持ってくれた。
けれど今思うときっと、企画自体が素晴らしかったわけではないと思う。
きっと、ブロガーなのにこんな風に自分を売り込んでくる外国人の女の子たちに、
面白さというか、真剣さというか、そんな何かを感じ取ってくれたんだと思う。
話がまとまりそうになって、さくらちゃんも安心した表情を浮かべるようになっていた。
そんなさくらちゃんを見ていると、私もなんだかすごく嬉しくなってきちゃったんだ。
良かったね、さくらちゃん!憧れの人と、コラボできることになるなんて!
そんな時、エリムさんが、私たちの活動を大きく方向付ける一言を放ったんだ。
「でもね、ひとつだけ条件があるの。
コラボしてもいいけど、その代わり‥‥
今からの半年間で、あなた達のFacebookページの”いいね!”を1万人に増やして。
それができるなら、今すぐにコラボしましょう。」
この時、さくらちゃんが、言葉を探してほんの少しだけ固まった。
その隙を逃さず、「はい、わかりましたー!」と元気よく返事をする私。
やった!なんか私、商談まとめちゃったんじゃない?
「OK!
じゃあ、後はフレディと話を進めてちょうだい。
動画の完成、楽しみにしてるわよ。」
爽やかに去っていくエリムさん。
笑顔で見送る私。
あぁ、気分最高!
全て丸くおさまって、なんていいミーティングだったんだろー☆