シンガポールで1番有名な日本人の目指し方 84 【暗転】
人生の物語は、いつも、あるときを境に急激に変化していくものだよね。
らんちゃんがNinja Girlsを去って、私はとても不安になっていた。
Ninja Girls創立時からのメンバーでもある彼女がいなくなるってことは一大事。どうやってこの穴を埋めていけばいい?
誰もがそう考えてたと思う。
そんな矢先、またもショックなニュースが飛び込んできた。
いつものコーヒーショップで、さくらちゃんが何気ない調子で言った。
「あやさんからね、Ninja Girlsを脱退させて欲しいって言われたんだ。」
★
あまりにも突然だった。
そして、あやさんもNinja Girlsを去った。原因は体調不良だった。
彼女はもともと体が丈夫な方ではなかったんだよね。
Ninja Girlsの撮影って実は結構ハードなトコがあってさ、たった3分そこらの動画を撮るのに、丸1日かかっちゃったりするわけ。
そのハードスケジュールと、タフな撮影を無理してこなすうちに、あやさんは体調を崩しがちしまったんだ。
悔やまれるのは、我慢強くて頑張り屋さんでのあやさんに、「無理しないでね。」って声をかけれなかったことかな。
彼女は、どんな撮影のときも具合が悪いなんて、一言も弱音を吐かずに、最後までやり遂げる人だった。
そんなあやさんに、さくらちゃんはこう言ったんだって。
「じゃあ、あやさんもNinja Girlsは無期限休業にします。休業だからって、私たちを待たせてる、とか、早く戻ってこなきゃ、とか一切思わなくていいからね。
でも、もし戻ってきたくなったら、いつでも戻っておいで。」
って。
なんで、さくらちゃんはあんなにどっしり構えてられたんだろう。
まるで、どこかのお父さんみたいな安定感だった。
反対に私は、どうしようもない不安の渦に巻き込まれてしまいそうになってた。
一人、また一人とメンバーが減っていく。
これからNinja Girlsは一体どうなってしまうんだろう‥
Ninja Girls解散!なんてことにならないよね?
そんなん絶対絶対やだーー!
私は悶々としながら、そんな事を考えていた。
ぜんぜん知らなかったんだ。Ninja Girls活動、いや人生全般において大きな要となるターニングポイントが、すぐそこまで迫っていたことを。
私はこの後、「人生は選択である」という言葉の意味を初めて理解する事になるんだよね。