シンガポールで1番有名な日本人の目指し方 121 【友情】
「上海に行くぐらいの度胸があるなら、シンガポールでだって今から仕事みつけれるよ!大丈夫!」
ゆりちゃんを絶対上海に行かせたくなかった私たちは、必死にゆりちゃんを説得した。
「なんなら、みんなで手分けしてゆりちゃんの仕事探すから!」
ゆりちゃんは、「うーん…」って煮え切らない返事をするばかり。
その数日後、「Ninja Girlsの活動をしばらくの間お休みさせてね」
ってメールをゆりちゃんから受け取ったときは、どうしようもなく切ない気持ちになった。
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シンガポールは、日本人にとって本当に住みやすい国。都会の中にほど良い田舎感があるし、日本食レストランもたくさんあるし、便利だし、一生住める!って素直に思えるすばらしい環境が整っている。
それでも……
そう、それでも外国で暮らすというのは、時に本当に大変なこと。
言葉や文化が違う国で過ごすうちに知らない間に小さなストレスを溜めてしまうことだってあるし、
何らかのトラブルに対処しなきゃいけない場合、
外国人というだけで圧倒的に不利な立場に追い込まれる事だってある。
だから、ゆりちゃんの気持ちは痛いほどわかった。
もう全部リセットして、やり直したい。きっとそう思ったんだろうな。
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私たちは、とにかくゆりちゃんのために何かいい仕事がないかって目を皿にして探した。
ネット上、雑誌、人材紹介会社。
今考えればゆりちゃんにちょっと迷惑なんじゃないかってぐらいに。
ゆりちゃんも、私たちのあまりの必死さに心を動かされた?のか、「そーだなー、シンガポールでもっかい仕事探してみるかなー。」と言ってくれるようになった。よっしゃーー!いいかんじ。これで仕事が決まればゆりちゃんシンガポールにいてくれる!
少しヤル気になったゆりちゃんは持ち前のかわいさとコミュニケーション能力で、
あっという間に幾つかの一時面接を突破した。
「やったーー!いい調子!」
さぁ、今度は二次面接。英語力が試される場面だ。
みんなで手分けして、ネットから英語面接情報をかき集める。
想定される質問とそれに対する答えをノートに一つ一つ書き込んでロールプレイイング練習をする。
やれることは全部やった。
そして…
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「ぎゃーーーー!ゆりちゃん、面接受かったってーーーーーー!!!」
携帯をいじっていたさくらちゃんが、突然悲鳴のような声を上げた。
仕事が決まった、っていうゆりちゃんの報告を一番最初に知った彼女。
「えっ!?まじでーーーーーーーーーーーーーーーーっ!?やったぁぁ!!!!」
私は、他人の事をこんなにも自分の事のように喜べたのは生まれてはじめてだったかもしれない。
就労ビザも無事に下りた。
みんながHappyになった。