シンガポールで1番有名な日本人の目指し方 92 【バイバイ、ダーリン】
翌日、会社にいると、エディから電話が掛かってきた。
「ダーリン、今、君のオフィスの近くにいるんだ。今日一緒にディナーを食べないかい?」
何気ない会話なのに、なぜかその瞬間私の心の中でスイッチがカチっと入った。
「エディ、私実は今日話したいことがあるの。じゃ、後でね。」
私はそういって電話を切った。
何かいつもと違う空気を感じ取ったんだろう、エディは一旦電話を切った後、すぐに掛け直してきた。
「ダーリン。いきなり話があるなんていいだすから、びっくりしたよ。一体どうしたっていうんだい?」
私は少しためらった。
でも、覚悟を決めて言った。
「別れたいの。」
★
私は仕事終わりに、カフェでエディを待っていた。
エディは、ちゃんと話合いたいと言ってきたし、私もそのつもりだった。
暫くすると、向こう側エディの姿が見えた。彼は無言で私の前の椅子に座る。
気まづい沈黙が流れた。
「‥‥で、なんで別れたいの?」
エディが口を開いた。
‥‥私はなんでエディと別れたいんだろう?
「もう、好きじゃないから。」
私はそう答えた。そう、つまりそういうことなんだ。
好きじゃないから、彼の言動にいちいちイラつくようになっていた。
「いきなり、そんなこと言い出すなんて、本当にびっくりだよ。ていうか、キミ、本当に無責任だよ。」
エディは少し怒っているようだった。
私は、どうしていいかわからず同じ言葉を繰り返した。
「もう、あなたのこと、好きじゃないの。だから別れて。」