シンガポールで1番有名な日本人の目指し方 108 【惨敗 】
場所を小刻みに移動しながら、私たちはなんとか興味を持ってくれそうな人を探そうとした。
さくらちゃんの『家出少女』ぽさがいけなかったのか、それとも看板に使った私たちのランジェリーフォトのせいで、風俗サイトと間違えられたからか、とにかく『いいね!』してくれる人はほとんどいなかった。
みんなが、私たちに冷たい視線を投げかける。もう、夜の10時を過ぎていた。
世の中そんなに甘くないのね‥‥
手元には、ほとんど減っていないポケットティッシュの山。これ買ったときは、絶対成功すると思ったんだけどな‥‥
さくらちゃんと話し合って、最後に繁華街を攻めて、それでも人が捕まらなかったら諦めて帰ることにした。
私たちは重い足と、重い心をひきずりながら、シンガポールの夜遊びスポット、クラーク•キーに向かった。
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週末のクラーク•キーは、若者でごった返している。週末だったせいか道沿いには、出店が軒を連ねていた。
と、その時、無言で歩いていた私たちの目に飛び込んできたのは‥‥
『占い』
それを見た瞬間、さくらちゃんが言った。
「あっ、これあたし知ってる!数日前になんでかわかんないけど、急に占いが気になって、ネットでしらべたんだけど、この占い師のお店が出てきたの! 」
私はすかさずいった。
「ちょっとみてもらおうよ!」
私は、偶然見える巡り合わせって、必然だと強く信じているんだ。
さくらちゃんが数日前にたまたまネット上でみつけた占い師のお店を、今日私たちがたまたまみつけた。
たまたまが二回重なったってことはきっと、何らかの必然なんだ。
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「あのー、いろいろ人生迷ってて大変なんすけど、どうなるんですかね‥‥」
真剣な面持ちで聞く私たちをみて、占い師のおじちゃんはニコッと笑った。