シンガポールで一番有名な日本人の目指しかた 35 【シンガポールドリーム】
<はじめての方はまず目次から!>
待ちに待ったパーティーデビューの日、
私はまだ何を着て行くか迷っていた。
誰もが振り返るぐらい目立つドレスを着たいけれど、
気合いを入れすぎて浮いても恥ずかしいし‥‥
悩みに悩んだ末、私は日本で買ったミニワンピースを選んだ。
実はこのワンピには結構思い入れがある。
シンガポールに渡航する二週間ほど前、
一目惚れで衝動買いしてしまった服なのだ。
その日普段めったに行かないショッピングモールをプラプラしていた私。
ふと気になって、あるセレクトショップに入ってしまった。
今まで一度も入ったことがないショップだったのだけれど、
入ってみると、私好みのインポート系の可愛い服がいっぱい!
その中でとりわけ私の目をひいたのが、
このミニドレスだった。
「私はあと2週間でシンガポールに発つんだぞっ!
これ以上荷物増やしてどーするっ!」
って、自分に言い聞かせたんだけどさ。
店員さんのにこやかな笑顔に誘われて試着してしまったが最後、
「買いますっ!あたしこれ買いますっ!!
おいくら万円ですかぁーーっ?」
ってな感じで、勢い良く買ってしまったのだ。
だって、すっごいかわいかったんだもん。
正直、こんなワンピースを日本の田舎で着たら、
どうしようもなく浮いてしまいそうなデザインだった。
でもきっとシンガポールにはこの服を着る機会がたくさんあるだろうって、
そんな予感がしたんだよね。
いや、むしろこれを着る機会を増やしてやるっ!
って、決意みたいなものがあったのかもしれない。
★
そんな夢と希望をのせたワンピースに体をねじ込み、
私はいつもより念入りに化粧をした。
スモーキーアイに仕上げた目元に、マスカラをたっぷりつけ、
いつもはつけないグロスを唇にのせる。
それから鏡に映った自分を見つめて思った。
「これは、アメリカンドリームならぬシンガポールドリーム。
どんな人でも夢が叶うチャンスがあるって、
今夜あたしが証明してみせる!」
鏡の中の自分と頷き合うと、私はすっかりいい女になった気分で、
さくらちゃんとの待ち合わせ場所、ショッピングモールIONへと急いだ。